質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
Bは、平成27年5月10日にAから木造アパートを相続しました。このアパートの取得価額等は次のとおりですが、Aの準確定申告及びBの確定申告における平成27年分の償却費の額はいくらですか。
- (1) 取得年月:平成4年1月
- (2) 取得価額:10,000,000円
- (3) 法定耐用年数:22年(旧定額法及び定額法の償却率0.046)
- (4) 平成27年1月1日の未償却残額:500,000円(取得価額の5%相当額)
【回答要旨】
Aの準確定申告において必要経費算入される償却費の額は41,667円、Bの確定申告において必要経費に算入される償却費の額は306,667円となります。
- (1) Aの準確定申告における減価償却費の計算
平成19年3月31日以前に取得した一定の減価償却資産で、各年分の不動産所得等の金額の計算上、必要経費に算入された金額の累積額が償却可能限度額(建物についてはその取得価額の95%相当額)に達している場合には、未償却残額をその達した年分の翌年分以後の5年間で、1円まで均等償却することとされています(所得税法施行令第134条第2項)。
また、年の中途で死亡した場合の必要経費に算入される金額は、その償却費の額に相当する金額を12で除し、これにその年1月1日からその死亡の日までの期間の月数を乗じて計算した金額とされています(同条第3項)。
したがって、Aの準確定申告における減価償却費の計算は次のようになります。
(500,000円−1円)÷5年×5/12=41,667円(相続時の未償却残額458,333円)(注) 1円までの5年均等
償却は、平成20年分以後の所得税について適用されます(平成19年政令第82号附則第12条第2項)。
- (2) Bの平成27年分の確定申告における減価償却費の計算
平成19年4月1日以後に取得した建物の減価償却の方法は、定額法とされ(所得税法施行令第120条の2第1項第1号)、この「取得」には、相続、遺贈又は贈与によるものも含まれます(所得税基本通達49−1)。
ただし、減価償却資産の取得価額及び未償却残額は、相続により取得した者が引き続き所有していたものとみなされます(所得税法施行令第126条第2項)。
したがって、Bの平成27年分の確定申告における減価償却費の計算は次のようになります。
10,000,000円×0.046×8/12=306,667円(未償却残額151,666円)
【関係法令通達】
所得税法第49条、所得税法施行令第120条の2第1項、第126条第2項、第134条、平成19年政令第82号附則第12条第2項、所得税基本通達49−1
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/04/23.htm
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