資力喪失者が債務引受けの対価として資産を譲渡した場合|譲渡所得
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
個人Aは、ゴルフ練習場等を経営していましたが、事業等に失敗して債務超過の状態に陥り、回復不能の状態となってしまいました。Aの兄Bは、Aの債務の全部を引き受けるとともに、Aの全財産を譲受けました。Aは、資力喪失の状態です。
Aの財産債務は次のとおりです。
上記の場合、Aが兄Bに譲渡した土地建物に係る譲渡所得については、資力喪失状態の下における債務弁済のための任意換価に係るものとして、所得税法第9条第1項第10号を適用することができますか。
【回答要旨】
照会の事例が資産を譲渡して、その対価で債務を弁済するものでないことから、所得税法施行令第26条に規定する場合に当然に該当するとはいえませんが、資力喪失の状態の下で、債務の引受けの対価として資産を譲渡する場合には、資産の譲渡対価によって債務を弁済したのと同様の経済的効果が生ずるので、資力を喪失して債務を弁済することが困難であり、かつ、強制換価手続の執行が避けられないと認められる状況の下で、照会のような債務の引受けと資産の譲渡が行われたときは、その譲渡に係る所得については、所得税法第9条第1項第10号に該当するものとして取扱って差し支えありません。
【関係法令通達】
所得税法第9条第1項第10号、所得税法施行令第26条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/01/01.htm
関連する質疑応答事例(譲渡所得)
- 宅地造成後譲渡した場合の事業用資産の判定
- 効用の異なる2個の資産のうち1個を交換とし他の1個を売買とした場合
- エンジェル税制の適用対象となる株式会社と特例有限会社
- 租税特別措置法第31条の2と租税特別措置法第34条の2との適用関係
- 非課税承認が取り消された場合
- 特殊関係者間の不等価交換
- 建物の一部を取り壊した場合における移転補償金の取扱い
- 所得税法第58条の適用がある資産の所有期間の判定
- やむを得ない事情により租税特別措置法第36条の2の買換資産の取得が遅れた場合の租税特別措置法第36条の3第2項に規定する修正申告期限
- 建物の取壊し補償の対償に充てるための土地等
- 河川法第24条の規定に基づく土地占用権
- 買換資産を居住の用に供した後に譲渡した場合の租税特別措置法第41条の5第4項の適用の可否
- 土地改良事業の事業費を捻出するために集合換地した土地を譲渡した場合の課税関係
- 手形裏書人が割り引いた手形債務を支払うために譲渡した場合
- 土地開発公社が土地区画整理事業施行地内の土地を公共施設用地として代行買収する場合(2号)
- 権利変換期日前での申告の可否及び被相続人が先行取得した資産を代替資産とすることの可否
- 河川占用権の放棄の対価として取得する金銭の所得区分
- イギリスから帰国した居住者がイギリス国内で居住の用に供していた資産を譲渡した場合
- 2棟の建築物を建築する場合の建築面積及び施行地区面積の判定(10号)
- 一組法による代替資産(墓地と墓石)
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。