質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
A社の100%子会社であるB社とA社が発行済株式の22%を保有するC社との間で、B社を株式交換完全親法人、C社を株式交換完全子法人とする株式交換を予定しています(A社、B社及びC社はいずれも株式会社です。)。
この株式交換は、C社の株主に交付する株式交換の対価を株式交換完全親法人であるB社の株式ではなく、B社の100%親会社であるA社(株式交換完全支配親法人)の株式とするいわゆる「三角株式交換」により行うことを予定しています。この株式交換が「共同で事業を営むための株式交換」(法2十二の十六ハ)として適格株式交換に該当するための要件(法人税法施行令第4条の3第16項各号に掲げられている要件をいい、以下「共同事業要件」といいます。)のうち、株式交換完全子法人の株主のうち一定の株主が保有する株式数の発行済株式等の数に占める割合が80%以上であることを求める「株式継続保有要件」については、具体的にはどのように判定することになるのでしょうか。
なお、株式交換前におけるC社の株主の数は50人未満であり、A社以外のC社の株主は株式交換により交付を受けるA社株式の全部を継続して保有することが見込まれています。また、株式交換後の関係会社において更なる組織再編をすることは予定していません。
【回答要旨】
お尋ねの場合の株式継続保有要件の判定に当たっては、次のとの株式の数を合算した株式数が、株式交換完全子法人の発行済株式等の数の80%以上であるかどうかを判定することとなります。
- 株式交換により交付されるA社株式を継続保有することが見込まれているC社の株主が保有するC社株式の数
- 株式交換完全支配親法人であるA社が保有するC社株式の数
したがって、ご照会の株式交換については、A社以外のC社の株主が保有するC社株式の数とA社が保有するC社株式の数を合算した株式数は、C社の発行済株式等の100%となりますので、株式継続保有要件を満たすことになります。
(理由)
- 1 株式会社である株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との関係が、完全支配関係及び支配関係のいずれにも該当しない場合において、その株式交換が次の及びのいずれをも満たすときには、当該株式交換は適格株式交換に該当することとなります(法2十二の十六ハ)。
- 株式交換完全子法人の株主に株式交換完全親法人の株式又は株式交換完全支配親法人株式(株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を保有する関係がある法人の株式をいいます。)のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこと。
- その株式交換が、株式交換完全子法人と株式交換完全親法人とが共同で事業を営むための株式交換に該当すること。
- 2 上記1の「共同で事業を営むための株式交換」に該当するための要件(共同事業要件)の一つに「株式継続保有要件」があります。「株式継続保有要件」とは、次の算式により算出した割合が80%以上であることを要件とするものです(法令4の3五)。割合の計算に際し、株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の株式を保有している場合には、当該株式を分子に含めて計算することとされています。
例えば、下記のイメージ図(Y社株式を対価とする通常の株式交換)の場合、Y社以外のZ社株主の全てが株式交換により交付を受けるY社株式の全部を継続保有することを前提とすれば、Y社以外のZ社株主が保有するZ社株式の数とY社が保有するZ社株式の数を合算した株式数は、Z社の発行済株式等の100%となりますので、「株式継続保有要件」を満たすことになります。 - 3 いわゆる「三角株式交換」が行われる場合には、株式交換完全子法人の株主に対して株式交換完全支配親法人の株式が交付されます。「三角株式交換」の場合にも、共同事業要件の一つである「株式継続保有要件」の判定については、上記2と同様の算式により算出した割合が80%以上であることが要件とされます。割合の計算に際し、株式交換完全支配親法人が株式交換完全子法人の株式を保有しているときには、当該株式も分子に含めて判定することとされています。
- 4 ご照会の株式交換については、B社とC社の関係は、完全支配関係又は支配関係のいずれにも該当しないため、この株式交換が適格株式交換に該当するためには、共同事業要件を満たす必要があります。
共同事業要件の一つである「株式継続保有要件」の判定について検討すると、A社以外のC社の株主については、株式交換により交付を受けるA社株式(株式交換完全支配親法人株式)の全部を継続して保有することが見込まれています。そして、A社以外のC社の株主が保有するC社株式の数とA社が保有するC社株式の数を合算した株式数は、C社の発行済株式等の100%となりますので、「株式継続保有要件」を満たすことになります。
【関係法令通達】
法人税法第2条第12号の16
法人税法施行令第4条の3第16項
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/37.htm
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