A社(年1回2月決算)は、甲市の土地(借地権)を収用対象事業により乙県に買収されましたが、その買収は乙県の予算の都合上、2事業年度にわたって行われました。
A社は、第1回目の買収(X年12月7日)後直ちに代替資産として土地を取得し圧縮記帳を行いました(X+1年2月期)が、その代替資産の取得価額(141,000千円)は、既に乙県から第2回目の買収の申出があったことから買収全体を考慮し、第1回目の買収価額(82,700千円)をはるかに超えたものとなっています。
この場合、A社は当該超える額(58,300千円)を第2回目の買収(X+1年7月2日)に係る代替資産(先行取得資産)とすることができますか。
(注) 租税特別措置法関係通達(法人税編)64(3)−6((代替資産の先行取得期間))は、法令上は予定されていない代替資産の先行取得を認めていますが、同一の先行取得資産を譲渡事業年度を異にする2以上の譲渡についての買換資産とすることを認めている同通達65の7(3)−4((譲渡事業年度前の事業年度において取得した資産の圧縮記帳))の取扱いが収用等の場合についても認められるかどうかが疑問点です。
代替資産とすることが認められます。
(理由)
収用等の場合の課税の特例における代替資産の先行取得については、収用等のあった日を含む事業年度開始の日前の取得を認める法令上の規定はありませんが、強制譲渡である収用等の場合と任意譲渡である特定の資産の買換えの場合とではその取引実態に異なるところはありませんので、代替資産の先行取得及び取得指定期間については特定の資産の買換えの場合の課税の特例(租税特別措置法第65条の7)と同様に取り扱うこととされています(租税特別措置法関係通達(法人税編)64(3)−6)。したがって、収用等の場合であっても任意譲渡の場合と同様に同通達65の7(3)−4に準じて取り扱うことが相当と考えられます。
租税特別措置法第64条、第65条の7
租税特別措置法関係通達(法人税編)64(3)−6、65の7(3)−4
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
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