質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
留保金課税制度(法法67)における当該事業年度に係る留保金額の計算においては、基準日が当該事業年度に属しており、かつ、当該事業年度終了の日の翌日から当該基準日の属する事業年度に係る決算の確定の日までの期間内に決議されている配当(以下「決算配当」といいます。)については、当該事業年度に支払われたもの(留保していないもの)とすることとされています(法法67)。
当社(3月決算)は、会計監査人設置会社ですので、定時株主総会の承認を経ることなく取締役会の承認により決算を確定させることができますが(会社法436、438、439)、取締役の任期が2年であることから、剰余金の配当等は株主総会の決議によらねばなりません(会社法454、459)。
このため、当社が次により配当の支払決議を行った場合には、留保金課税制度(法法67)における当該事業年度に係る留保金額の計算において、本件配当は、その基準日(3月25日)が当該事業年度に属しているものの、その支払決議の日(6月28日)が当該事業年度終了の日の翌日(4月1日)から基準日の属する当該事業年度に係る決算の確定の日(6月15日)までの期間内にないため、当該事業年度に基準日が属している決算配当には該当せず、支払っていないもの(留保しているもの)として取り扱われるのでしょうか。
- 当該事業年度:×年3月31日期(1年間)
- 本件配当の基準日:×年3月25日
- 当該事業年度の決算確定日:×年6月15日(取締役会の日)
- 本件配当の支払決議の日:×年6月28日(株主総会の日)
【回答要旨】
照会事項に係る事実関係を前提とする限り、決算配当に該当し、当該事業年度の留保金額の計算においてこれを支払ったもの(留保していないもの)として取り扱って差し支えありません。
(理由)
次に掲げる検討を踏まえれば、本件配当を留保金課税制度における決算配当に該当するものとして取り扱うことが相当です。
イ 留保金課税制度は、もともと
同族会社の配当を促進する意味合いを持つものですので、当該事業年度終了後に決議される配当等のうち次のいずれにも該当する配当を決算配当として、留保金額に含めないこととしています。
- 基準日が当該事業年度に属していること。
- 当該事業年度終了の日の翌日から当該基準日の属する事業年度に係る決算の確定の日までの期間内に決議されていること。
ロ お尋ねのように定時株主総会の決算の承認を省略する場合であっても、定時株主総会への計算書類の内容の報告が行われ、これにより一連の手続を了することからすれば、この定時株主総会に報告した時を「決算の確定の時」と解することができ、上記イのの要件(相当の期間内に配当決議がなされているか)については、定時株主総会において当該事業年度の決算が確定したものとみて、その判定を行うこととなります。
ハ なお、法人税法第34条第1項の規定により利益連動給与が損金の額に算入されるためには、「利益に関する指標の数値が確定した後一月以内に支払われ、又は支払われる見込みであること。」(法令69一)が要件の一つとされており、この利益に関する指標の数値が確定した時とは、利益に関する指標、すなわち、決算の数値が確定した時と考えられ、本件における「決算の確定の時」と同一時であると考えられます。
この利益に関する指標の数値が確定した時については、法人税基本通達9−2−20(利益に関する指標の数値が確定した時期)の注書において、法人が会社法第439条《会計監査人設置会社の特則》の規定の適用を受ける場合にあっては、取締役会の承認の時ではなく、上記と同様に、取締役が計算書類の内容を定時株主総会へ報告した時をいうことを明らかにしているところです。
【関係法令通達】
法人税法第67条第1項、第3項、第4項
会社法第436条第3項、第438条第2項、第439条、第454条第1項、第459条第1項第4号
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/22/01.htm
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