利息棚上げをしている場合の未収利息の取扱い|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
法人税基本通達2−1−25((相当期間未収が継続した場合等の貸付金利子等の帰属時期の特例))の(4)は、会社更生法等の規定による更生計画認可の決定、債権者集会の協議決定等により貸付金の額の全部又は相当部分について相当期間棚上げされることとなった場合には、当該貸付金の額の未収利息の計上を見合わせることができることを明らかにした取扱いですが、当該取扱いについて次の点はどのように取り扱われますか。
(1) 「会社更生法等の規定による更生計画認可の決定、債権者集会の協議決定等」の範囲に「行政機関のあっせんによる当事者間の協議」が含まれますか。
(2) 「債権者集会の協議決定」により棚上げを行う場合に、一部債権者については支援能力等を勘案して利息の棚上げを行わない場合であっても当該取扱いの適用がありますか。
【回答要旨】
(1) 行政機関のあっせんによる当事者間の協議により長期の棚上げを取り決めた場合も当該取扱いの適用があります。
(2) 一部債権者が棚上実施債権者から除かれたとしても、そのことに合理的な理由がある場合は特例の適用を認めて差し支えないものと考えられます。
(理由)
1 法人税基本通達2−1−25に掲げる未収利息の収益計上を見合わせる場合の事情は、いずれも元本そのものが不良債権化したというものであって、さらに具体的事情によっては元本自体の貸倒処理又は貸倒引当金の設定も考慮しなければならないケースであり、このような場合にも、原則どおり未収利息の計上を強制することは実態に合いません。このため、同通達により未収利息の計上見合せの特例が設けられています。
2 金融機関が利息の長期棚上げを行う場合に未収利息の計上を見合わせる例として、「会社更生法等の規定による更生計画認可の決定」と「債権者集会の協議決定」があった場合が掲げられていますが、これらの例は一定の事実が生じた場合に貸金等の全部又は一部の切捨てにつき貸倒損失の計上が認められる旨を明らかにしている法人税基本通達9−6−1((金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ))にも掲げられており、債務者の状況を客観的にみて現実に利息を回収することが困難である事情を例示したものです。
法人税基本通達9−6−1の取扱いでは、これらと同様の事例として「行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議」による貸倒れを認めることとされており、同様の事情がある場合に、当事者間の協議により貸倒処理まではいかなくても支援策の一環として、未収利息の棚上げを行ったときは、その実情から未収利息の計上を見合わせても差し支えないものと考えられます。
債権者集会の協議決定による利息の棚上げがあった場合に、税務上未収利息の計上を見合わせる特例を設けているのは、債権者集会は利害相反する債権者によって協議がなされるので、そこにし意性の入る余地がないことによるものです。
(注) 「債権者集会」は、貸倒損失が生ずる場面(法人税基本通達9−6−1(3))と再建支援の場面(法人税基本通達9−4−2)の2通りの場面で開催されることがあり、貸付金等の切捨て(債権放棄)の場合には、それが貸倒損失であるか、利益供与であるかを峻別する必要がありますが、利息棚上げの場合には直接権利関係に変動を生じるものではなく、峻別して考える必要はありません。
【関係法令通達】
法人税基本通達2−1−25、9−4−2、9−6−1
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/01/05.htm
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