従業員であり請求人の母親である者の死亡に伴い支出した弔慰金及び香典は、事業と直接の関連を有し、客観的に通常かつ必要な費用であるとは認められないことから、必要経費に算入することはできないとした事例
[所得税法][必要経費][事業所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1997/12/10 [所得税法][必要経費][事業所得] 請求人は、従業員であり請求人の母親である者の死亡に伴い支出した本件弔慰金及び本件香典は、事業所得金額の計算上必要経費に算入すべきである旨主張する。
しかしながら、本件弔慰金については、その理由があいまいであり、かつ、その金額の計算方法も不動産所得の基因となる建物の管理等の労務の対価及び建築後の経過年数を用いているなど合理性、整合性がないことから、事業と直接の関連を有し、客観的に通常かつ必要な費用であるとは認められない。
また、本件香典については、葬儀費用の負担者は喪主である請求人であり、本件香典を手向けた者と本件香典の受取人は請求人自身であると認められることから、香典として経理処理等をしたことをもって、事業遂行上客観的に通常必要な費用であるとは認められない。仮に業務関連部分があるとしても、家事関連費とみるのが相当であるところ、業務遂行上必要である部分を明らかに区分することができず、所得税法施行令第96条に規定する経費に該当しない。
よって、本件弔慰金及び本件香典はその全額について必要経費に算入することはできない。
平成9年12月10日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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