請求人は、原処分庁が任意売却の申出を認めずに請求人の居住用財産である本件建物の公売処分を強行したことは、権利の濫用に当たる旨主張する。
しかしながら、差押財産を換価するときは、公売によって行うこととされており、納税者の居住用財産を換価する場合に、納税者の事情を考慮した換価手続を行わなければならない又は公売以外の方法により換価しなければならないとする法令上の規定は存在しない。そして、公売は、差し押さえた財産を買受希望者の自由競争に付し、その結果形成される最高価額により売却価額及び買受人となる者を決定するための一連の手続であり、強制換価手続である国税滞納処分の手続の公正を維持しながらも、なるべく高価で納税者に有利な売却を行うことをある程度まで制度的に保障しようとする手続であると解される。本件において、原処分庁が請求人からの任意売却の申出を認めずに公売を行ったことは、法令上の規定に従ったものであり、また、請求人の申出に係る任意売却による買受希望者が公売に参加し最高価で入札することもできたのであるし、さらに、強制換価手続において納税者の権利利益も保護しようとする上記の公売の趣旨及び目的に反する事実は見当たらないから、本件公売公告処分が権利の濫用に当たり違法又は不当ということはできない。
平成19年11月28日裁決
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