債権に質権が設定されたのは、滞納国税の法定納期限等の後となり、この質権については国税徴収法第15条1項は適用されず、本件取立金は、同法8条の規定により、質権により担保される請求人の債権に優先して、滞納国税に配当されることになり、配当処分は適法である。
また、民法第350条において準用する同法第304条1項は、質権はその目的財産の売却、賃貸、滅失又は毀損によって質権設定者が受けるべき金銭その他の物に対しても行うことができる旨規定し、質権の効力は、質権の目的財産だけでなく、異体化した当該財産の交換価値にも及ぶとしている。そして、この規定の趣旨からすれば、「売却、賃貸、滅失又は毀損」は例示で、交換も含まれると解される。
しかし、請求人は、株式を根質権の目的財産から除外し根質権を解除した上で、滞納会社が第三債務者に金銭を預け入れることにより生じた預金債権に質権を設定したのであり、預金債権は、株式との交換によって根質権の設定者である滞納会社が受けるべき金残その他の物に該当しないことは明らかである。
したがって、根質権の効力は預金債権に及ばないというべきであり、請求人の主張には理由がない。
平成12年2月9日裁決
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