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一括支払システム契約における代物弁済条項の国税債権者に対する効力が否定され、譲渡担保権者である銀行が国税徴収法第24条の物的納税責任を負うとされた事例

[租税特別措置法][登録免許税法の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。

裁決事例(国税不服審判所)

1998/02/27 [租税特別措置法][登録免許税法の特例]

裁決事例集 No.55 - 719頁

 請求人は、本件代金債権が一括支払システムに基づく譲渡担保財産であることを知りながら滞納者の財産として差し押さえた本件差押えは違法・無効であり、したがって本件告知処分も無効である旨主張するが、本件代金債権は請求人等から提示を受けた書類等から滞納者の財産と認定して差し押さえたものであり、譲渡担保財産と知りながら差し押さえたものとは認められないことから、本件差押処分は適法である。
 また、請求人は、[1]原処分庁が国税徴収法第55条に基づく通知をした日現在、滞納会社に本件代金債権を担保として同額の貸付金を有していたところ、本件通知が発せられた時に請求人の滞納会社に対する貸金債権は何らの手続を要せずに弁済期が到来し、同時に担保のため譲渡した代金債権は貸金債権に充当される旨の一括支払システム契約の特約の効力により、本件代金債権は貸金債権の弁済に充当されたこと及び[2]仮にそうでないとしても、本件告知がされた時に本件特約の効力により本件代金債権は消滅している旨主張する。
 しかしながら、本件特約によると、請求人に告知等が到達した時には常にその譲渡担保権の実行が完了していることになり、常に告知等の要件である譲渡担保財産の存在が欠けることになるから、譲渡担保が国税の法定納期限等の後に設定され、国税に劣後している場合であっても、徴収職員が国税徴収法第24条に基づき、当該譲渡担保財産から国税を徴収する機会を事実上全く奪ってしまうことになる。このことは、法の規定にかかわらず、私人間の合意により、滞納処分の対象とならない譲渡担保財産を作り出すことにほかならず、国税徴収法第24条第5項及び第6項の規定の趣旨を完全に没却するものであるから、本件特約について、当事者間においてその効力を認めることはともかくとして、原処分庁に対しては、請求人は本件代金債権が譲渡担保財産でなくなったことを理由に、同条に基づく物的納税責任の追及を免れることはできないと解するのが相当である。

国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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