請求人は、本件不正経理行為については、[1]従業員が自己の窃盗又は横領行為の発覚を防止するために行った不正行為であること、[2]請求人が通常の調査をしても発見できない方法で本件売上等圧縮行為が行われ、また、記帳や現金管理を任せ切りにした事実もないこと、[3]請求人の取締役が従業員に対して本件棚卸圧縮行為を指示した事実はないことから、請求人に結果責任を課すべきではなく、課税主体である請求人の隠ぺい又は仮装行為に該当しない旨主張する。
しかしながら、重加算税を課すためには、納税者において、過少申告を行うことの認識を有していることまで必要とするものではないから、隠ぺい又は仮装の行為は、納税義務者たる法人の代表者に限定されるものではなく、従業員を自己の手足として経済活動を行っている納税者においては、隠ぺい又は仮装行為が代表者の知らない間に従業員によって行われた場合であっても、その従業員の行為を納税者の行為と同一視することが相当である場合には、法人自身が当該行為を行ったものとして重加算税を賦課することができるものと解するのが相当である。そして、本件においては、[1]従業員は請求人の経理事務を担う重要な地位にいたこと、[2]不正経理行為は請求人の課税申告に直接反映していること、[3]不正経理行為は長期に及び、現金出納帳などの確認をすれば容易に把握できたと認められるところ、[4]請求人はそれらの確認を行っていないことを総合勘案すれば、本件不正行為は請求人の行為と同一視すべきと認められるから、本件重加算税の各賦課決定処分はいずれも適法である。
平成17年6月29日裁決
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