国税通則法第66条第3項にいう「調査」とは、実地調査等の納税者に対する直接的かつ具体的な、いわゆる外部調査はもちろんのこと、申告指導のような納税者が課税庁における検討を認識することができる程度の手続も調査の範囲に含まれ、「決定があるべきことを予知してされたものではないとき」に当たるためには、課税庁の調査を納税者が認識できる以前に自発的な意思に基づいて期限後申告書を提出した場合をいうものと解するのが相当である。
請求人は、請求人関与税理士が法定申告期限前に作成した平成7年分の地価税の申告書について、内容を了解した上で記名押印して本件地価税申告書の作成を了し、提出方を請求人関与税理士に依頼して交付しており、当該申告書に係る地価税額の全額を法定納期限内に納付しているものの、原処分庁は、請求人の同年分の地価税の課税価格を請求人に係る資料等から算定した結果、申告義務があると見込まれたことから法定申告期限前に地価税の申告書等の用紙を請求人に送付し、法定申告期限内に同年分の地価税の申告書が提出されていないことを内部資料によって確認した上、請求人関与税理士事務所員に対し電話で同年分の地価税について申告書の作成を請求人から委任されているか、また地価税の申告書を提出しているか問い合わせを行っており、本件地価税申告書が提出されたのは、原処分庁から請求人関与税理士が当該問い合わせを受けた直後であることからすると、「調査があったことにより決定があるべきことを予知してされたものではないとき」に該当せず、「予知してされた」と認められる。
国税通則法第66条第1項によれば、期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合以外は、無申告加算税が賦課されることとされており、無申告加算税は納税申告書を法定申告期限までに提出しなかった者に対する行政制裁であるから、同条の規定は納付すべき税額が法定申告期限内に納付されていたとしてもその適用が左右されるものではなく、同条の規定する「納付すべき税額」とは、法定申告期限後に提出された申告書に記載された納付すべき税額を指し、税の納付とは直接関係がなく、無申告加算税の基礎となる税額の計算において法定申告期限内に納付された税額を控除すべきではないと解するのが相当である。
平成9年9月30日裁決
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