和解調書には、他の共同相続人の一人が請求人に対して遺留分の価額弁償金として本件金員を支払う旨及び請求人が本件金員を受領する一方、その他の請求を放棄する旨記載されており、一見、遺言に基づく代償金の請求を放棄するとも読み取れるものの、請求人及び他の共同相続人の一人の供述にもあるように、請求人が本件和解前に本件代償金の支払請求を放棄した事実も本件訴訟において本件代償金の存在が否定された事実もない状況において、本件代償金を超える本件金員が支払われるということからは、本件金員の一部をもって本件代償金の支払がなされたと認めるのが相当であって、本件金員は、本件相続の開始により本件遺言書に基づき請求人が取得した代償財産(本件代償金)5,000万円に加え、本件和解の成立により遺留分に対する価額弁償金として1,500万円を取得したものであり、結果として本件和解により本件相続税における請求人の取得財産が5,000万円から6,500万円に増加したものであると解するのが相当である。
そうすると、請求人は、本件被相続人の死亡と同時に相続により本件代償金を取得したことにより、本件法定申告期限までに期限内申告書を提出しなければならない者に該当するから、本件和解の成立により新たに相続税法第27条第1項に規定する申告書を提出すべき要件に該当することとなった者には当たらず、本件期限後申告書は、同法第30条第1項の規定による期限後申告書には該当しないとともに、本件代償金は遺留分減殺請求に基づく価額弁償金の確定に伴い取得したものではなく、請求人が本件相続により取得したものであり、本件法定申告期限までに申告すべきものであるから、本件期限後申告書に記載された課税価格のうち5,000万円の部分については、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合」に該当して申告されたものとは認められない。
平成20年1月23日裁決
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