請求人は、本件相続税の法定申告期限において、本件各保険会社に対する保険金請求訴訟が係属中で支払が確定していなかった本件各生命保険金を相続財産として申告しなかったことは、国税通則法第66条第1項の「正当な理由」に当たる旨主張する。
しかしながら、同項にいう「正当な理由」とは、例えば災害、交通・通信の途絶など、期限内申告ができなかったことについて納税者の責めに帰すことができない外的事情など、無申告加算税を賦課することが不当又は酷と考えられる真にやむを得ない理由をいい、相続財産に属するとみなされる特定の財産を相続税の計算の基礎としないがゆえに期限内に申告をしなかった場合において、当該財産が相続財産に属するとみなされないか又は属するとみなされる可能性が小さいことを客観的に裏付けるに足りる事実を認識して期限内に申告書を提出しなかったことを納税者が主張立証したときは、「正当な理由」があると解すべきところ、[1]請求人は、被相続人の死亡により、本件各保険金請求権を取得していること、[2]請求人は、各保険会社に対し本件相続開始後まもなく生命保険金の支払請求をしていること、[3]本件各生命保険金と保険事故事由を同じくする3件の生命保険金は、被相続人死亡後まもなく支払われていること、[4]本件各保険会社は、被相続人の行為の公序良俗違反等を理由に本件各生命保険金の支払を拒絶したため、請求人は、同理由が抽象的で、確たる証拠を欠き推測の域を出ないものでしかないとして、本件各訴訟を提起していること、[5]本件各訴訟において、請求人の本件各生命保険金の請求を認容する判決が確定していることが認められ、これらの本件相続の発生から各訴訟の確定までの一連の推移を総合考慮すると、請求人が、本件において、本件各生命保険金が相続財産に属するとみなされないか又は属するとみなされる可能性が小さいことを客観的に裏付けるに足りる事実を認識して期限内申告書を提出しなかったとは認められず、請求人に「正当な理由」があったとはいえないといわざるを得ない。
平成18年2月27日裁決
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