請求人は、国税庁が定める納税の猶予等の取扱要領(以下「猶予取扱要領」という。)第2章第1節1の(3)のヘの(ハ)では、「納税者に事業上の著しい損失に類する事実があったこと」とは、「従前に比べ売上げの減少等の影響を受けたこと」と定めているから、比較の対象は調査日前1年間(調査期間)の直前の1年間(基準期間)より広いことは明らかであり、売上げの減少等の程度が著しいことまでを要件とするものではないところ、平成19年分と平成13年分を比較すると、売上金額及び粗利益金額が明らかに減少した事実があるので、国税通則法第46条第2項第5号に規定する同項第4号に類する事実(以下「5号該当(4号類似)事実」といい、第4号で規定する事実を「4号該当事実」という。)がある旨主張する。
しかしながら、猶予取扱要領にいう「従前」とは、4号該当事実の原則的な判定方法と例外的な判定方法の基礎となる期間を示していると解するのが相当であり、5号該当(4号類似)事実とは、自己の責に帰すことができないやむを得ない事由による著しい売上げの減少や著しい経費の増加をいい、利益の現象による5号該当(4号類似)事実があるというためには、著しい赤字の状態が生じたとまではいえないが、それに近い赤字の状態が生じていることが必要であると解されるところ、本件調査期間と本件基準期間を比較すると、売上げの減少や経費の増加の程度が著しいとは言い難く、利益については赤字の状態に陥ったとは認められないから、請求人には、5号該当(4号類似)事実があるとは認められない。
平成21年11月6日裁決
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