請求人は、贈与税の納税義務を負っている者から、同人の贈与税額を担保するために、大蔵省が抵当権を設定している不動産を購入した第三取得者の立場にある。
請求人は、原処分庁が右の贈与税を徴収するためにした、担保物処分(国税を担保する抵当権の実行)としての担保不動産の差押処分について、民法第378条[滌除の意義]以下に定める抵当権の実行通知をはじめとする諸手続を行っていない違法があるとして、その取消しを求める旨主張する。
しかしながら、国税担保のための抵当権の実行手続については、国税通則法第52条第1項で「滞納処分の例により処分する」と規定されているのみであり、国税通則法、国税徴収法及びその他滞納処分に適用される法令には、滌除に関する民法の規定を適用ないし準用する旨の規定が置かれていないこと及び右の「滞納処分の例により処分する」の規定の趣旨は、租税の徴収については、租税のもつ特殊性から、迅速かつ能率的に行うため自力執行制度としての滞納処分手続がとられ、民事執行手続によらないとされており、その延長として国税の担保物の処分による徴収も同じ手続で行うことを定めたものと理解でき、国税担保のための抵当権については、滌除に関する民法の規定が適用ないし準用されないものと解することに合理性が認められること等から、原処分は適法である。
平成12年9月29日裁決
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