《要旨》 原処分庁は、所得の金額の計算上、法人税の確定申告書において損金の額に算入していた青色欠損金額(当期控除額)を加算されることが更正通知書(本件通知書)に示されていないことについて、当期控除額を加算する理由(本件理由)は、青色申告の承認の取消処分に伴うものであり、法文の規定上明らかであることから、請求人においても容易に認識でき、理由の提示不備の違法はない旨主張する。
しかしながら、行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解されることから、更正処分をする際は、当該更正通知書自体に法の要求する程度にその理由を示す必要がある。よって、本件通知書は、本件理由の提示がなく、本件通知書自体から当期控除額を所得金額に加算する旨を特定し得る程度の理由を示していないことは明らかであるから、本件理由の提示不備の違法があると判断するのが相当である。なお、本件通知書は、本件理由の提示のないことが更正処分全体の理由の提示を不備なものとする程度に至るとは認められず、また、他に更正処分に係る理由の提示に不備があるとも認められない。
《参照条文等》 行政手続法第14条
《参考判決・裁決》 最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁)
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