商法第110条は、「合併を無効とする判決は合併後存続する会社又は合併に因りて設立したる会社、其の社員及第三者の間に生じたる権利義務に影響を及ぼさず」としており、合併無効の判決が将来に向かって合併を無効とする効力を有するに止まり、合併のときにさかのぼって合併を無効とするものではないことを規定している。
そして、当該判決によって、合併後存続する会社又は合併によって設立した会社は、無効判決確定のときに将来に向かって合併前の数社に分けられ、同時に合併により消滅した会社は、将来に向かって復活することになる。
また、上記規定は、商法第415条第3項において、株式会社に準用する旨規定しているから、ここにいう社員には株式会社における株主が含まれると解されている。
これを本件についてみると、本件合併は、本件判決により無効とされ、そのことが確定したのであるが、本件判決の確定日の前日である平成11年4月3日までは有効であったのと同様にその効力を保持していたものであり、当該確定日以後において、合併前の状態に回復され、解散会社も当該確定日から将来に向かって復活するにすぎないのである。
そうすると、本件合併は、合併の日にさかのぼって無効となるのではないから、当該合併に基づき行われた株式の割り当て交付及びそれによって発生した本件みなし配当には何ら影響がないといえる。
したがって、本件判決の確定は、国税通則法第23条第2項第1号にいう「その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定した」ことには該当せず、更正の請求の要件を充足していないというべきである。
平成12年4月28日裁決
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