請求人は、各E国子会社を設立した目的は租税回避目的ではないこと、各E国子会社は実体を有さず単なる名義人であり請求人がその損益を請求人の損益と合算経理して申告しており各E国子会社には未処分所得はないこと、租税特別措置法第66条の6の規定は合算経理を禁じたものではなく法人税法第11条の規定により各E国子会社の実質所得者は請求人であると自認して合算申告していることを否定する理由はないこと、租税特別措置法第66条の6の規定が法人税法第11条の特別法として優先的に適用される関係にはないこと等から、租税特別措置法第66条の6の規定は適用されない旨主張する。
しかしながら、各E国子会社は、契約上の地位を有し、自ら船舶を所有して定期傭船契約を結び収益を得るなど個々の法人としての実体を有していると認められるので、法人税法第11条の規定を適用して当該各会社の損益を請求人の所得金額と合算して申告することは認められず、また、当該外国法人は租税特別措置法第66条の6に規定する特定外国子会社等の所定の要件を満たすことから、原処分は適法である。
また、請求人は、確定申告書に添付した「減価償却費明細書」に誤りがあったとして減価償却費の総額は変更せずに個々の船舶の償却費を加減算した訂正後の「減価償却費明細書」を提出し、特定外国子会社等の課税対象留保金額の算定に当たっては当該訂正後の「減価償却費明細書」に基づくべきである旨主張する。
しかしながら、その後の事業年度の確定申告書に添付された「減価償却費明細書」をみると、確定申告書に添付された「減価償却費明細書」との連続性があること、さらに、請求人は租税特別措置法第66条の6の規定を適用して更正処分が行われることを前提に個々の船舶の償却費の訂正を求めていることからしても、確定申告書に添付された「減価償却費明細書」の記載内容には誤りはなかったものと認められ、各船舶の減価償却費の計算は確定申告書に添付された「減価償却明細書」に記載された金額に基づき行われることとなる。
平成20年2月6日裁決
※最大20件まで表示
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。
*ご利用にあたっては利用規約を必ずご確認ください