請求人は、租税特別措置法第65条の2に規定する所得の特別控除(以下「本件特別控除」という。)の適用ができる漁業補償金について、[1]請求人の関与税理士が参考とした文献に本件特別控除の記載がなかったこと、[2]申告期限までにその適用を受けるための証明書が届かなかったことから、その適用をせずに確定申告を行ったものであり、これらの事情は同条第5項に規定する「やむを得ない事情」に該当する旨主張する。
しかしながら、同条第5項に規定する「やむを得ない事情」とは、自然災害、人為的災害、交通途絶等の客観的に見て本人の責めに帰すことのできない事情をいい、個人的な事情はこれに該当しないと解されているところ、本件特別控除の申告記載などのない本件確定申告書を提出したのは、要するに、関与税理士が確認した文献に漁業補償に関する本件特別控除が記載されていなかったことをもって、漁業補償には本件特別控除の適用がないと軽信したことによるのであるから、このことは単に個人的な事情に過ぎず、また、請求人は、申告期限までに本件特別控除の適用を受けるための証明書の発行を請求すれば取得できる状態にあったものであり、それをしなかったのは請求人の責めに帰すべき事情である。
したがって、「やむを得ない事情」はないとして、本件特別控除の適用を認めなかった原処分は適法である。
平成15年2月17日裁決
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