請求人は、ダム建設事業に伴い土地、立木等を譲渡し、その対価補償金をもって賃貸用ビルを取得し、租税特別措置法第64条“収用等に伴い代替資産を取得した場合の特例”第1項等を適用し、ビルを1個の代替資産として圧縮限度額を計算し、申告した。
原処分庁は、請求人が経理処理上ビルを建物及び付属設備等の複数の資産に区分していることから、個々の代替資産ごとに圧縮限度額を計算すべきである等として更正処分をした。
しかし、代替資産の範囲に関する原則規定である租税特別措置法施行令第39条第2項は、代替資産として「建物(その付属設備を含む。)又は建物に付属する大蔵省令で定める構築物」と規定していることから、代替資産の区分としては付属設備はすべて「建物」に含まれる資産と解していることが明らかであり、同条第4項についても同様に解すべきである。
請求人が、経理処理の各段階でビルを複数の資産に区分したことは原処分庁の主張のとおりであるが、これは、減価償却費の額の計算のための区分に過ぎず、代替資産として区分することを自認したということはできない。
したがって、原処分庁の主張はいずれも採用できず、一方、賃貸用ビル等の建物は、建物本体と電気、給排水、昇降機等の各設備が一体となってその効用を有する不可分一体のものとみるべきであり、これを一個の代替資産とみるのが相当である。
平成6年11月7日裁決
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