本件株式は、請求人がD証券株式会社からA証券B支店に現物を持ち込み、保管委託されていたものが、特定口座の開設とともに同口座に移管されたものであるから、受入非特定上場株式等に該当し、本件株式の譲渡所得の計算上控除される取得価額は、みなし取得価額となる。
請求人は、実際の取得価額が認められないとすれば、当該譲渡により損をしているのに税金を支払わなければならず酷であるとして、みなし取得価額が適用される上場株式について実際の取得価額により所得計算をすべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は自ら特定口座により株式等の譲渡所得の計算をすることを選択しているところ、A証券B支店は、特定口座の開設時に請求人に対し受入非特定上場株式等の取得価額がみなし取得価額になるということを説明しており、請求人は、本件株式の取得価額がみなし取得価額の適用を受けることを十分に知りえる状況にあったものと認められ、また、A証券は、平成16年末を期限に実際の取得価額への見直しが可能であるとして請求人に対し再点検をするよう通知していたにもかかわらず、請求人は、取得価額の見直しの申出を行っていないことが認められる。
これらの事情に照らせば、本件株式の譲渡所得の計算上、実際の取得価額が認められないからといって、酷であるとは認められないから、請求人の主張は採用できない。
平成18年9月5日裁決
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