請求人は、旧家屋から新家屋に家財道具等を搬出したのは、祖母が死亡した日(平成6年9月14日)以降であり、平成6年に生活の本拠が新家屋に移っているので、本件の旧家屋について租税特別措置法第35条第1項で規定する「居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日」は、平成9年12月31日となるところ、本件旧家屋の譲渡はこれ以前に行われているから、居住用財産の特別控除の適用が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、[1]旧家屋と新家屋の水道と電気の使用状況をみると、平成3年3月以降は旧家屋での使用実績はなく、同年1月以降の新家屋の使用量は、新家屋に生活の本拠を移したことに争いのない時期である平成7年の使用量と同程度であると認められること、[2]旧家屋におけるガス会社との間の取引は平成3年2月28日で終了していること、[3]旧家屋の電話は、平成2年11月20日に他の場所に移されていることの各事実を総合すれば、請求人が平成3年3月以降旧家屋に居住していた事実はなく、生活の本拠は、遅くとも同月までに新家屋に移っていたと認めるのが相当である。
したがって、旧家屋が請求人の「居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日」は、平成6年12月31日となり、甲土地はこの日以前(同月2日)に譲渡契約がなされ、乙土地はこの日以後(平成7年1月10日)に譲渡契約がなされているが、これらの土地の引渡しは、いずれも平成7年1月になされており、また、本件土地の譲渡所得についての確定申告も平成7年分の所得として申告されていることからみて、本件譲渡は、平成6年12月31日までに行われた取引とは認められず、本件土地等の譲渡所得に居住用財産の課税の特例は適用できない。
平成10年12月18日裁決
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