原処分庁は、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例における居住用財産とは、居住の用に供している家屋及びその土地等をいい、敷地であった土地等のみを譲渡した場合は、土地等の譲渡に関する契約が家屋を取り壊した日から1年以内に締結されている場合に特例を適用できるとされているところ、本件は、平成5年12月20日作成の売買契約書により本件譲渡資産を譲渡する旨の契約を締結したものと認められるが、本件建物は平成4年3月31日に取り壊されているから、本件売買契約書により請求人が譲渡したのは本件借地権のみと認められ、かつ、本件売買契約は本件建物を取り壊した日から1年以内に締結されていないことから、特例の適用はできない旨主張する。
しかしながら、本件再開発事業において、本件共同事業施行者が平成3年6月30日付で作成提出した事業計画の同意書には、本件共同事業施行者が保有する資産の価額等、同資産の価額等で取得可能な再開発ビルの区分所有建物等を取得する方法及び譲渡の相手方等が定められており、本件同意書は、本件共同事業施行者がその保有する資産を譲渡する旨の譲渡契約を締結したものと認めるのが相当である。また、平成5年12月20日付で作成された売買契約書は、その作成時点で本件再開発事業がほぼ完了している事実からすると、本件再開発事業の清算の過程を明らかにするために作成されたものと認めるのが相当である。
そうすると、請求人は、平成3年6月30日に、本件建物及び借地権を譲渡する旨の譲渡契約を締結したものであり、本件建物及び借地権で請求人が居住の用に供していた部分は、居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までにこれを引き渡したのであるから、居住用財産を譲渡した場合の各特例を適用することができる。
平成9年6月26日裁決
※最大20件まで表示
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。
*ご利用にあたっては利用規約を必ずご確認ください