裁決事例集 No.40 - 265頁
請求人は、昭和62年2月に譲渡したマンションは昭和45年に1,430万円の金員を支払って取得し、以後居住の用に供していたのであるから、居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用があると主張するが、請求人とマンションの所有者であった会社との間には昭和45年に「建物利用権設定契約」が締結され、その内容は、[1]請求人は、利用区を自己の持家と同様に居住のために占有使用し、相続その他の包括承継の対象とすることができ、転貸することができること、[2]契約期間は、昭和45年5月1日から昭和60年4月30日までであり、一定の条件のもとに解約でき、契約が終了した場合には保証金(1,430万円)を返還し、請求人は抵当権の設定登記又は代物弁済予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記を付することができること、[3]保証金は無利息であること等が定められており、請求人は、本件マンションについて昭和45年当時、建物利用権と所有権のうちどちらか一方を選択取得できたにもかかわらず、自己の意思で建物利用権を取得したものであって、この建物利用権は、借家権と同一の性格を有しているものと解するほかないから、請求人は昭和45年に建物利用権を取得して以後債権を有していたものであり、昭和58年に至って本件マンションの所有権を取得したものと認められる。そうすると、本件譲渡所得については、譲渡の年1月1日現在において所有期間が10年を超えていないから、居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用はない。
平成2年11月22日裁決
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