請求人は、原処分庁が求める物納申請に係る必要書類はすべて提出しているから、その提出がないことを理由としてなされた物納申請却下処分は、取り消されるべきである旨主張する。
しかしながら、税務署長等は、物納申請書の提出があった場合、相続税法第41条に規定する物納の要件に該当するか否か、及び同法第42条第2項に規定する物納申請財産が管理又は処分するのに適当な財産であるか否かについて調査を行い、許可又は却下の処分をすることになるところ、その物納申請財産の適否の判断に当たっては、物納申請財産の特定や、その財産に係る権利関係等が明らかにされていなければないことから、その調査の一態様として、物納申請者に対し、[1]物納申請に係る財産を特定するために必要な書類及び[2]物納申請財産に係る権利関係等を明らかにするために必要な書類の提出及び補完等を求めることができると解される。そして、これらの必要書類の提出等の要請に対して、物納申請者が、正当な理由なく応じなかった場合には、当該物納申請は、物納財産の特定を欠き、あるいはその権利関係等が明らかにされない結果、物納申請財産が管理又は処分するのに不適当な財産となるから、却下することは相当であると解される。
本件は、原処分庁が提出を求めた必要書類には合理的理由が認められ、これに対して、請求人はその一部しか提出しておらず、その提出された必要書類も不備なものであり、他の提出されない書類についても提出されないことについて正当な理由は認められず、各物納申請財産は管理又は処分するのに不適当な財産となるから、物納申請の却下処分は適法である。
平成18年6月20日裁決
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