請求人は、本件物納財産(他の土地に囲まれ公道に通じていないもの)を許可する上で、本件私道は、隣接する居住者はもとより不特定多数の人が自由、安全、容易に通行している道路であり、民法第210条によれば公道と認められること、また、本件私道は建築基準法第42条第2項に規定する道路でもあることから、通行を許可する旨の私道所有者の承諾書は必要ない旨主張する。
しかしながら、建築基準法第42条第2項に規定するいわゆるみなし道路指定がされた私道は、その私道内での建築等及び私道の廃止・変更が制限される結果、その反射的利益として通行することができるにすぎないのであり、その私道を通行する者に通行権が認められているわけではない。そのため、私道の所有者に通行者の通行を受忍するにつき著しい損害を被る事情が存する場合等においては通行の制限が加えられることが許される場合もあり得ることから、その私道を自己が欲するとおりの態様や利用目的で通行することを日常的に必要不可欠とする場合には、私道所有者の承諾等により通行権を得る必要がある。また、その私道は他人の所有地であるから、その私道にガス管や水道管を埋設するに当たっては、その土地所有者の了解を得る必要があることはいうまでもないところである。そうすると、国が物納財産を管理又は処分するためにその私道の利用が必要不可欠である場合にも、その私道の所有者にその土地の通行及び使用についての承諾を得る必要があるというべきである。これを本物件についてみると、本件私道を利用することが同物件を管理又は処分する上で必要不可欠であると認められるから、原処分庁が本件承諾書の提出を求めたことは相当であり、請求人の主張は理由がない。
平成18年6月14日裁決
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