請求人は、本来の納税義務者に対して強制的な徴税の執行を行うことなく、自己の相続税を完納した請求人に対して本件差押処分を行ったことは、違法、不当である旨主張する。
しかしながら、連帯納付義務は、相続税の徴収の確保を図るために相互に各相続人に課した特別の責任であり、その義務履行の前提条件をなす連帯納付義務の確定という事実に照応して法律上当然に生ずるものであるから、連帯納付義務につき格別の確定手続を要するものではなく、各相続人の固有の相続税の納税義務が確定すれば、国税の徴収に当たる所轄庁は直ちに連帯納付義務者に対して徴収手続を行うことができると解され、本来の納税義務についての履行責任を連帯納付義務者に補充的に負わせるものではない。
また、請求人は、差押物件として未分割の相続財産を選択するよう要望していたが、原処分庁が事業用の貸駐車場を差し押さえたのは、裁量権の著しい濫用である旨主張する。
しかしながら、原処分庁が本件差押物件の方が換価が容易であるとして行った原処分には合理性があり、事業用の貸駐車場を選択しなかった本件差押処分は、裁量権の著しい濫用とはいえない。
平成10年10月21日裁決
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