遺産分割の審判の決定により未分割財産が分割確定したことによる相続税法第32条1号に規定する更正の請求とは、同法第55条の規定により未分割財産を法定相続分の割合に従って課税価格を計算して確定した納付すべき税額が、その後の遺産分割の確定に伴い過大となるという後発的事由に基づいて相続税額の是正を求めるものであるから、この規定に基づく更正の請求の基礎となる財産の価額は、申告の後に更正があった場合には、その更正により確定した財産の価額を基礎とすることになる。
請求人は、第一次更正処分について取消訴訟を提起し、その判断がなされていないから、本件更正の請求の基礎となる総遺産価額は、申告書に記載した総遺産価額によるべきである旨主張する。
しかしながら、行政事件訴訟法第25条第1項には、行政事件の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行または手続の続行を妨げない旨規定され、行政処分の取消しを求める争訟があっても正当な権限に基づく取消しがない以上有効な行為としてその効力を否定することはできないとされているから、第一次更正処分が、取消訴訟で取消されていない以上、有効な行為としてその効力は否定されないので、本件更正の請求の基礎となる総遺産価額は、第一次更正処分により確定した総遺産価額を基礎とすることになる。
平成16年5月28日裁決
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