請求人らは、相続財産である貸付金債権について、債務者である同族会社は、年商の約8倍もの銀行借入金を有していること、返済期限の迫っている銀行借入金を返済する原資を有しておらず、賃貸用建物の売却代金をもってしてもなお銀行借入金を完済することができなかったこと等からして、当該会社の事業経営は、相続開始日において実質的に破綻しており、本件貸付金は回収不能債権であると認められる旨主張する。
しかしながら、会社の借入金が多額であっても返済条件に従った返済がなされている限り、債権者がそれ以上の返済を求めることはなく、事業経営を継続することは可能であり、現に、会社の借入金については相続開始日において返済期限は到来しておらず、また、過去において返済が滞ったことはなく、銀行から臨時弁済を求められた事実もないこと等からすれば、借入れ金額が多額であることをもって事業経営が実質的に破綻しているとは言えず、会社の収入は年々減少しているものの、相続開始後解散までの間は営業を継続しているから、収入が減少していることをもって事業経営が実質的に破綻しているともいえず、さらに、本件において、相続開始後会社の賃貸用建物が請求人の一人に譲渡され、当該譲渡代金をもって銀行借入金が繰上げ返済され、その結果、会社の主たる資産及び収入の手段がなくなり、会社を解散するに至ったこと等を総合勘案すれば、相続開始日において、債務者である会社につき事業経営が破綻していることが客観的に明白であると認めることはできない。
平成19年10月10日裁決
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