請求人らは、医療法人E会は定款を変更し、出資額限度法人となったことから、定款の変更及び合併に伴う通常の出資持分の定めのある社団たる医療法人への移行(後戻り)は本件通知(平成16年8月13日付医政発第0813001号、「いわゆる『出資額限度法人』について」をいう。)により事実上禁止されており、県知事の認可を受けることはできないから、医療法人の出資の価額は、払込出資額により評価すべきである旨主張する。
しかしながら、本件通知には、出資額限度法人が通常の出資持分の定めのある社団たる医療法人へ移行(後戻り)することは適当でない旨の記載はあるが、禁止する旨の記載はなく、かえって、本件通知の基となった本件照会(厚生労働省医政局長から国税庁課税部長に対する平成16年6月8日付医政発第608002号「持分の定めのある医療法人が出資額限度法人に移行した場合等の課税関係について(照会)」をいう。)によれば、出資額限度法人が通常の出資持分の定めのある社団たる医療法人へ移行(後戻り)することができることを当然の前提としていると認められ、また、医療法その他関係法令上、これを禁止する規定がないことからすれば、定款変更により出資額限度法人が通常の出資持分の定めのある社団たる医療法人へ移行(後戻り)することが絶対的な拘束力を有して禁止されるものとは認めることができず、医療法第50条でその手続きが法令又は定款に違反しない限り定款の変更等も可能であると認められるから、出資額限度法人が通常の出資持分の定めのある社団たる医療法人へ移行(後戻り)することができないことを前提とする、医療法人の出資の価額を払込出資額で評価すべきとの請求人らの主張には理由がなく、また、医療法人の出資の価額を財産評価基本通達194−2に定める方法によって評価することが著しく不適当と認められる特段の事情も認められないから、原処分は適法である。
平成18年11月8日裁決
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