《ポイント》 本事例は、各土地の存する地域に係る土地の利用状況及び周辺地域の状況等の事情を総合勘案して、審判所認定地域が各土地に係る広大地通達に定める「その地域」に当たると判断したものである。
《要旨》 請求人は、相続した土地及び取引相場のない株式の発行会社の有する借地権(本件各土地等)について、本件各土地等の存するその地域における標準的な宅地の使用は戸建住宅の敷地で、その標準的な地積は110?ないし120?であり、本件各土地等はその標準的な地積に比して著しく広大であり、戸建住宅の敷地として分割して使用する場合、いずれも潰れ地が生じることになるから、財産評価基本通達(平成29年9月20日付課評2−46ほかによる改正前のもの)24−4《広大地の評価》(広大地通達)に定める広大地に該当する旨主張し、原処分庁は、本件各土地等の存するその地域における標準的な宅地の地積は700?程度であり、本件各土地等の経済的に最も合理的な使用は、700?程度の工場等の敷地として使用することであるから、広大地通達に定める広大地に該当しない旨主張する。
しかしながら、広大地通達に定めるその地域とは、土地の利用状況の連続性や地域の一体性を分断して土地利用上の利便性や利用形態に影響を及ぼすことがあり得る客観的な事情を総合勘案し、利用状況、環境等がおおむね同一と認められる、ある特定の用途に供されることを中心としたひとまとまりの地域を指すものと解されるところ、本件各土地等の存する地域は、その利用状況及び環境等からみて、幅員の広い幹線道路沿いの地域(本件1地域)とそれ以外の地域(本件2地域)に区分され、本件1地域における標準的な使用は中小の工場の敷地であり、その標準的な地積は670?程度であると認められる。一方、本件2地域における標準的な使用は戸建住宅の敷地であり、その標準的な地積は110?程度であると認められる。そうすると、本件各土地等の属する地域のうち、本件1地域に存する土地については、地積及び位置等からみて、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく広大な土地とは認められず、広大地には該当しないが、本件2地域に存する土地については、経済的に最も合理的な使用は戸建住宅の敷地であり、標準的な地積に比して著しく広大な土地であって、その開発には潰れ地が生じることから、広大地に該当するものと認められる。
《参照条文等》 相続税法第22条
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