裁決事例集 No.23 - 180頁
被相続人が、相続人所有の土地の賃借に当たり権利金等の一時金を支払わずに相当の地代を支払っていた場合、借地法等法律上借地権が設定されたことは否定し得ないとしても、経済的にみて当該借地権に財産的価値の存在を認めることは困難であると認められる。すなわち、税務上相当の地代の授受をもって権利金の授受に代えることを認めているのは、土地の収益還元評価の思想が背景にあるもので、更地の時価に比して十分の利回り採算がとれるほどの高い地代のとれる土地は借地権の設定によりその経済的価値が下落しないという考え方によるものと認められ、この考え方によれば、少なくとも相当の地代の授受が維持されている限り、土地所有者においては土地を更地のまま評価し、逆に借地人においては借地権価額が零又は無視してもよい程度に低いものとされるところ、本件借地権については、相当の地代の授受が維持されているのであるから、相続税の課税価格に算入される価額はないとするのが相当である。
昭和57年3月18日裁決
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