請求人は、本件土地は請求人が貸家の敷地として固定資産税等の1.7倍以上の地代を支払って借りていたものであるから貸宅地として評価すべきであるが、貸借に当たって、権利金の授受もないことから評価基本通達26(貸家建付地の評価)に定める程度に評価すべきであると主張する。
ところで、土地の貸借に当たって、当該土地の公租公課を負担する程度のものは使用貸借であると解されているところ、請求人は、本件土地を借り受けるに当たり賃貸借契約及び地代の取決めをせず、領収書のただし書には「固資税、都計税、S町3−718、R町1−909分」等と記載されているのみで、本件土地地代とは記載されておらず、請求人の不動産所得の青色申告決算書に支払地代として計上することなく、公租公課と計上していることが認められ、また、請求人が支払った額が本件土地の固定資産税等の1.7倍となっているのは、被相続人から負担の要求をされた、請求人が相続する予定の本件土地及びその他の土地の固定資産税等の合計額が当該価額になっているにすぎず、本件土地の使用対価としての性格のものとは認められないので、本件土地の貸借は使用貸借と認めるのが相当である。
そうすると、使用貸借による敷地利用権は、権利性の薄弱なものであり、経済的価値を有しないものと解され、また、借家人の敷地利用権は、建物所有者の敷地利用権に従属して、その範囲内での権能にすぎないと解されているので、本件土地の価額は、自用地としての価額から控除すべき建物所有者の敷地利用権の価額はないものとして算定するのが相当である。
平成8年3月29日裁決
※最大20件まで表示
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。
*ご利用にあたっては利用規約を必ずご確認ください