請求人は、相続により取得した貸宅地である本件土地について、財産評価基本通達25の定めに基づき、本件土地の自用地としての価額からその借地権の価額を控除した金額によって評価すべきである旨主張する。
しかしながら、貸宅地の評価において、借地権の価額を控除するのは、借地権の設定により、当該宅地の自用地としての価額のうち借地権部分に相当する経済的価値の地主から借地人への移転があり、借地人が経済的に相当の価額を有する借地権を取得したとみるべき経済的実態が存在するからであって、この場合、借地権部分に相当する経済的価値の移転の対価というべき権利金を授受することが広く行われていることからすると、借地権の設定に当たり権利金を授受する取引上の慣行があるにもかかわらず権利金を授受しなかった場合であっても、その土地の使用の対価として相当の地代を授受するときは、地主にとって経済的実態において自用地と異なることのない土地となることから、借地人への経済的価値の移転はなく、控除すべき借地権の価額もないこととなる。
これを本件についてみると、本件土地は、借地権の設定に際し、通常権利金を支払う取引上の慣行のある地域内にあるところ、本件土地の賃貸借契約は、権利金の授受に代えて相当の地代を授受する内容であったと認められることから、本件土地の借地権部分に相当する経済的価値の賃貸人から賃借人への移転があったとは認められず、また、本件相続開始日においても相当の地代を収受していたと認められる。
そうすると、本件土地の価額は、財産評価基本通達25の(1)の評価方法によることはできず、「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」の6の定めにより、本件土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額によって評価するのが相当である。
《参照条文等》相続税法第22条財産評価基本通達25「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」1、3、6法人税法施行令第137条法人税基本通達13−1−2
平成22年2月15日裁決
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