請求人は、本件宅地の存する地域は地価が異常に下落しており、相続開始日における時価が相続税評価額を下回っているから、本件通知処分は本件宅地の時価の解釈を誤った違法な処分であり、本件宅地の価額は請求人が依頼した不動産鑑定士の鑑定評価額によるべきである旨主張する。
一方、原処分庁は、原処分庁が依頼した不動産鑑定士による本件宅地の鑑定評価額は相続税評価額を上回っているから、本件宅地の価額は相続税評価額によるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人が提出した鑑定評価書には、鑑定評価に採用した取引事例に不適当なものがみられるなど種々の不的確な点が認められることから、当該鑑定評価額は本件宅地の価額を表しているものとは認められず、また、原処分庁が提出した鑑定評価書の写しには、その鑑定を行った不動産鑑定士の氏名が明らかにされていないことから、本件宅地の価額を証明する証拠資料として採用することはできない。
そこで、当審判所において、本件宅地と同一の用途地域内にある取引事例等を抽出し、これらの現況を確認し、土地価格比準表に準じて地域要因及び個別要因の格差補正を行う方法により本件宅地の価額を算定したところ、一部の宅地について、審判所が算定した価額が相続税評価額を下回っていることが認められたので、審判所が算定した価額を当該宅地の価額とするのが相当である。
よって、本件通知処分はその一部を取り消すべきである。
平成9年12月11日裁決
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