請求人は、不動産鑑定評価基準は、賃貸されている借地権付建物の価格を求める場合について、実際実質賃料に基づく純収益を基に還元して得た収益価格を標準とし、積算価格及び比準価格を比較考量して決定すると定めており、また、バブル崩壊後の不動産の取引の実態や融資の際の担保評価をみると収益性を重視しているところから、本件借地権の価額は、実際の賃料収益を基に算定した収益価格の80パーセント相当額と近隣の取引事例に比準して算定した比準価格に見込再調達原価を基に算定した建物価格を加算した積算価格の20パーセント相当額の合計額から建物の価額を除いて算定した本件鑑定評価額により評価すべきであり、更正の請求を認めるべきであると主張する。
しかしながら、本件鑑定評価額の収益価格は、建ぺい率及び容積率を最大限まで使用していない建築後40年近くも経過し老朽化や陳腐化の激しい建物における近隣相場より著しく低廉な賃料を基に算定されたもので、借地権の最有効使用の状況における適正な賃料を基礎として算定されたものではなく、客観的な交換価値を表す価額とは認められないので、この収益価格を標準に上記のウエイトで算定した本件鑑定評価額は適正な価額とは認められない。
そこで、近隣の取引事例からみて時価相当と認められる借地権の比準価格を基に、特に不合理であるとは認められない評価基本通達に定める貸家建付借地権の評価方法に従って算定した借地権の価額は、当初申告に係る価額を超えるので、更正の請求は認められない。
平成8年1月25日裁決
※最大20件まで表示
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。
*ご利用にあたっては利用規約を必ずご確認ください