《ポイント》 本事例は、相続税の更正処分をする場合に、相続税法第17条のあん分割合について、共同相続人が当初申告において選択した端数調整方法を用いることができるのは、当該更正処分の前後において各共同相続人全員の相続税の課税価格に増減がない場合等、極めて限定的な場合であり、それ以外の場合には、端数調整することなく相続税額を計算するのが相当としたものである。
《要旨》 原処分庁は、相続税の本件各更正処分において、相続税法第17条《各相続人等の相続税額》のあん分割合について、請求人らが当初申告において選択した端数調整方法により相続税額を計算している。
しかしながら、相続税法基本通達17−1《あん分割合》は、更正処分をする場合において、相続又は遺贈により財産を取得した者(財産取得者)全員が選択した端数調整方法によって相続税額を計算することができる旨定めているものの、この定めは任意とするものであり、これは、各財産取得者が当初申告した取得財産及びその評価額につき、更正においては異なる判断がされることが多く、各財産取得者が当初申告において選択した端数調整方法を用いると、各財産取得者全員又は一部の者の意に反する結果となるおそれがあるからであると解される。したがって、更正する場合において、各財産取得者が当初申告において選択した端数調整方法を用いることができるのは、例えば、更正の前後において各財産取得者全員の相続税の課税価格に増減がない場合等、極めて限定的に解するのが相当である。本件においては、請求人らの各課税価格は、本件各更正処分の前後おいて異なることから、本件各更正処分におけるあん分割合は、請求人らが選択した端数調整方法に依拠せずに、端数調整することなく、相続税額を計算するのが相当である。
《参照条文等》 相続税法第17条 相続税法基本通達17−1
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