請求人は、相続税法基本通達13−3ただし書は、債務等超過分を控除するに当たって共同相続人全員の合意が必要であるとは定めていないから、請求人の更正の請求における課税価格の計算上、債務等超過分を控除すべきである旨主張する。
しかしながら、当該通達は、共同相続人が法定相続分の割合に応じて負担することとした場合の債務及び葬式費用の金額が相続により取得した財産の価額を超えることとなる場合において、その債務等超過分を他の共同相続人の相続税の課税価格の計算上控除することとして申告があったときは、これを認める旨定めているところ、共同相続人の中に債務等超過分を控除することが可能な者が複数いる場合、それぞれが任意に債務等超過分を自己の相続税の課税価格の計算上控除して申告できるとすれば、債務等超過分が重複して控除されることも想定されることになり妥当でなく、当該通達がそのような事態まで許容する趣旨でないことは明らかであり、また、先に申告した者のみ控除が認められるとすることも公平性に欠け、妥当でない。
したがって、債務等超過分を控除することが可能な者が複数いる場合には、これらの者の間において、債務等超過分をどのように配分するかについての調整・合意がなされていることが前提になっていると解するのが相当であるところ、請求人は、債務等超過分を控除することが可能な他の共同相続人の合意を得ていないから、請求人の更正の請求における相続税の課税価格の計算上、他の共同相続人に生じた債務等超過分を控除することはできない。
《参照条文等》相続税法第13条相続税法基本通達13−3
平成22年3月15日裁決
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