《要旨》 原処分庁は、請求人らが主張する、本件被相続人が負っていた請求人らを含む相続人らからの借入金債務(本件各借入金債務)は、相続開始日において存在していない旨主張する。
しかしながら、本件各借入金債務の原資(本件各金員)は、相続人らが支出したものと認められることに加え、当該支出について、相続人らは、本件被相続人が同人の営む病院(本件病院)の建物建築資金等に係る銀行借入を返済するために本件被相続人へ貸し付けたものである旨答述するところ、本件病院は本件被相続人から建物を賃借して営業を行っていたこと、相続人らは本件病院の経営に関わるとともに、本件病院からの報酬で生計を維持していたこと、本件病院の収入は年々減収しており、当該建物の賃借料や当該報酬も引き下げていること、本件被相続人の法定相続人は同人の配偶者又は子である相続人らのみであり、相続人らが本件被相続人の財産及び債務を相続することが予定されていたこと並びに過去において、本件被相続人から相続人ら及び孫らに対し定期的に贈与がされていたことからすると、上記の銀行借入の返済が滞る事態が生じれば、本件病院の維持継続が困難となり、相続人らの生活に直接大きな影響を与えることとなることが容易に想定されることなどから、当該答述内容は相続人らが本件被相続人に対して本件各金員を支出するに至った経緯として自然なものということができる。なお、本件各金員は孫らの進学資金などとして積み立てていたものであること並びに上記の本件被相続人から相続人ら及び孫らに対する定期的な贈与は相続税対策のためのものと推認されることからすると、本件各金員の支出が相続人らから本件被相続人への贈与であったとみるのは困難である。したがって、本件各金員は、相続人らから本件被相続人に貸し付けられたものと認めるのが相当である。
《参照条文等》 相続税法第13条第1項第1号、第14条第1項 民法第545条、第587条
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