原処分庁は、[1]被相続人とその妻には退職までほぼ同等の収入があったこと、[2]請求人等が金融機関に提出した相続関係届出書に使用した印鑑と預金証書の印鑑が異なること、[3]本件全定期預金の満期日が同一日であること、[4]金融機関職員の申述によると、被相続人の妻が本件全定期預金の印鑑を所有しており、この妻のみに会って、その指示の下で取引をしていたこと、[5]本件全定期預金は、出金されることはほとんどなく、請求人らがその資金を提供したり、あるいはその一部を費消したことを裏付ける事実はないこと、[6]相続人の申述によると、被相続人の妻が請求人らの名義を自由に使用し、本件定期預金をすべて一体のものとして管理していたことなどから、本件全定期預金は贈与前にすべて被相続人及びその妻に帰属していた旨主張する。
しかしながら、[4]及び[5]の事実は、本件全定期預金がすべて被相続人の妻に帰属することの根拠にはなり得ても、被相続人に帰属することの根拠とはならないし、[5]の事実は、本件全定期預金が請求人らに帰属するものではないことを推測させる一事情にすぎず、被相続人に帰属することを推測させる理由とはならない。
また、被相続人とその妻には退職までほぼ同等の収入があったことは、両者にそれぞれ固有の財産形成があったことを推測させる事実ではあるが、そのことのみをもって、本件全定期預金の具体的な帰属を推測することはできない。
平成13年3月29日裁決
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