請求人は、自己が営む事業につき、顧客先との間で取り交わした契約書の表題は「請負契約書」であり、その「業務の内容」の項において具体的な作業内容が明記されるとともに、請負金額は生産状況により調整する旨記載されており、この契約に基づいて役務を提供して対価を受け取っていたものであるから、製造業のうち役務の提供を行う事業に該当することとなり、消費税の簡易課税制度における事業区分上、第四種事業に該当する旨主張する。
しかしながら、消費税の簡易課税制度を公平に適用するためには、日本標準産業分類を基礎として判定することが有用であるところ、請求人が顧客先に派遣する社員は、顧客先の社員の指揮命令を受けて作業に従事していること、請求人は、顧客先との間で、別途「覚書」を交わしており、それによれば、顧客先へ請求する役務の対価の額は派遣した社員の勤務時間や時間給を基礎として算定するとされ、実際にもこれによっていること等からすれば、当該役務の対価の額は、民法第632条が規定する請負契約において予定されている仕事の結果に対する報酬でなく、派遣した社員の労働の対価と認められることから、当該取引は、形式上、請負契約の体裁をとるものの、実質的には請負といえず、日本標準産業分類の大分類「サービス業」の中分類「その他の事業サービス業」の細分類の「労働者派遣業」(派遣するために雇用した労働者を、派遣先事業所からその業務の遂行等に関する指揮命令を受けてその事業所のための労働に従事させること)に該当し、事業区分について、より合理的な他の基準がないことから、請求人の営む事業は第五種事業に区分されるサービス業に当たると認められる。
平成14年9月30日裁決
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