《ポイント》 消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項は、国内において行う課税仕入れについては、課税標準額に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除する旨規定しているところ、同条第7項において、第1項の規定は、事業者が課税仕入れの税額に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れに係る課税仕入れの税額については、適用しない旨規定している。そして、消費税法第30条第8項第1号においては課税仕入れに係る帳簿の記載事項を、また、同条第9項第1号及び第2号においては請求書等の記載事項をそれぞれ規定しているところである。
この事例は、請求人が職人に支払った対価が課税仕入れに係る支払対価に該当し、課税仕入れに係る消費税額の控除が認められるか否か等が争われたものであり、請求人の出面帳が上記消費税法第30条第8項第1号の法定記載事項を具備したものか否か、また、当該出面帳に基づく課税仕入れに係る消費税額の控除の範囲を判断したものである。
《要旨》 原処分庁は、本件出面帳について、その大半につき、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第8項第1号に規定する法定記載事項のうち課税仕入れに係る支払対価の額の記載がないことから、法定記載事項が記載された法定帳簿の保存を定めた同条第7項の趣旨に照らして、これを法定帳簿と認める余地はない等と主張する。
確かに、法定帳簿については、課税仕入れに係る相手方氏名等、課税仕入れの年月日、その役務等の内容及び支払対価の額の法定記載事項の各記載が必要であり、これらの要件を欠く帳簿は法定帳簿として認めることはできないものの、本件出面帳の記載内容等を法定帳簿の保存を法が定めた趣旨に照らせば、本件出面帳のうち、法定記載事項のすべてを満たしていると認められる部分のみを法定帳簿と認めることが法定帳簿の保存を定めた法の趣旨に反するとはいえない。したがって、当該原処分庁の主張を採用することができない。
《参照条文等》 消費税法第30条第1項、第7項、第8項、第9項
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