請求人は、[1]本件仕入取引はいずれもMから持ち込まれたもので、請求書等に記載された仕入先(以下「本件各仕入先」)が真実のものと判断して取引を開始し、本件各仕入先の納品書、請求書及び領収書を収受していること、[2]本件仕入取引は現金取引であり、請求書等の氏名等が真実であるか否かは重要な意味を持つものでなく、その実在を徹底的に追及することが商取引の実態にそぐわないことからすれば、本件各仕入先が真実の取引先であったことは明らかであるか、請求人としては、本件各仕入先を真実の仕入先と信じることに相当の理由があったから、仕入税額控除が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、本件仕入取引については、請求人の社長がMに商品を発注し、Mから納品があった際、A氏に代金を支払うという流れであり、M以外の者が関わっていた事実はなく、本件各仕入先は存在しないか、存在しても請求人と取引があったとは認められないことからすると、本件仕入取引はMが虚偽の名義を使用して行ったものと認められ、したがって、帳簿等に真実の取引先の氏名等が記載されているとはいえない。
また、社長をはじめ請求人の社員等は、本件各仕入先の所在や業態等をMに確認することなく、当該取引を継続して行っていたものであるから、請求人が、本件各仕入先を真実の取引先であると取り扱わざるを得ない状況であったとか、そのように信じざるを得ない状況であったとは言えないため、本件各仕入先の氏名等を真実と信ずべき相当な理由があったとは認められない。
平成14年4月3日裁決
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