請求人は、本件建物等の課税仕入れの時期について、消費税法基本通達9−1−13ただし書において、事業者が建物その他の固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡の時期としているときはこれを認める旨定めていること及びビジネスホテル業は関係諸官庁の営業許可なしでは営業できないことから、本件建物等の引渡しの日については、本件確認書及び本件合意書で定めた日である旨主張する。
しかしながら、請求人は、本件売買契約書を締結した日に本件不動産(上記建物及びその敷地)の売買代金の全額を売主へ支払い、同日、所有権移転登記を了しているばかりか、本件不動産の購入資金の借入先(債権者)との間において債務者及び根抵当権設定者をいずれも請求人とする根抵当権設定契約書兼代物弁済予約証書を作成するとともに本件不動産に根抵当権の設定登記を行っていることが認められること及び本件売買契約書、本件確認書及び本件合意書のいずれにも旅館業の営業許可が下りなければ契約の効力が生じないとする旨の約定がなく、本件売買契約が旅館業の営業許可を受けることを停止条件とする契約であるとは認められないことから、本件不動産の引渡しは、本件売買契約書の契約日に完了していると認めるのが相当である。
また、本件合意書記載の合意が当事者間において真意でなされたとしても、前述した本件事実関係の下においては、本件不動産は、本件合意書に記載された引渡しの期日よりも前に引渡しが完了していることが認められることから、本件のように引渡しの日について合理的と認められる日が存在している場合には、本件不動産の引渡しの時期についての当事者間の合意があるからといって課税仕入れの時期を左右し得ないものというべきである。
平成19年2月8日裁決
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