請求人は、土地とともに取得した建物の取得価額は、時価により合理的に算定すべきであるから、売買契約書に記載された建物の価額によらず、売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額の価額比であん分して算定した価額によるべきであり、また、本件建物の課税仕入れに係る支払対価の額も、消費税法施行令第45条第3項及び租税特別措置法関係通達62の3(2)-3の規定等の趣旨に照らし、上記の方法により合理的に算定すべきである旨主張する。
しかしながら、本件の売買契約は、請求人及びA社が、契約当事者として本件契約書に記載された内容で合意し、本件契約の締結に至ったものと認められ、両者の間に、同族会社であるなど特殊な利害関係あるいは租税回避の意思や脱税目的等の下に故意に実体と異なる内容を契約書に表示したなどの事情は認められず、また、本件契約書に記載された本件建物の価額は、売主が不動産売買の仲介業者に本件土地建物の売却価額の査定を依頼し、その報告書を参考に決定したものであって、当審判所の調査によっても特段不合理なものとは認められないから、本件建物の減価償却に係る取得価額は、本件契約書に記載された本件建物の価額を基に算定するのが相当である。
また、本件建物の課税仕入れに係る支払対価の額も、本件契約書に記載された本件建物の価額が、契約当事者双方の契約意思を表示するものであり、本件契約書に実体と異なる内容を表示したなどの特段の事情もなく、また、その価額に特段不合理な点が認められないから、本件契約書に記載された本件建物の価額を基に算定するのが相当である。
平成20年5月8日裁決
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