請求人は、本件基準期間において、E社に特注した機器に係る代金支払債務の引受けを見合いとして当該機器の引渡請求権をF社に譲渡しており、当該機器の引渡請求権の譲渡は課税売上げに該当するから、本件課税期間については課税事業者に当たる旨主張する。
しかしながら、本件引受書によれば、請求人、F社及びE社の間で、当該機器に係る請求人のE社に対する権利義務を一体としてF社に移転する合意があったものと認められるところ(以下、当該合意に基づく当該権利義務の移転を「本件取引」という。)、本件引受書には、当該権利義務の移転の対価として収受すべき金額の記載がなく、当審判所が本件引受書以外の資料を調査したところによっても、本件取引について対価が授受されたことを示すものは見当たらない。そうすると、本件取引は、対価を得て行われた資産の譲渡等に該当しないから、課税売上げに当たらない。
したがって、請求人は、本件課税期間については課税事業者に該当しない。
なお、本件取引は、契約から生じる個々の債権債務のみならず当該契約の取消権や解除権も包括的に移転する取引で、単なる債権譲渡や債務引受とはその本質を異にするものと認められ、本件取引に係る対価についても個々の債権債務その他の付随的権利関係を一体として評価することが相当であるから、請求人の主張には理由がない。
平成19年3月29日裁決
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