請求人は、「事業として行う資産の譲渡」というには、反復、継続が必須であるところ、約40年間立木の譲渡はなく今回初めて譲渡したものであって反復、継続していないこと、今回譲渡した立木は、当初3年程下草刈りをした後、10年後くらいに1回間伐しただけであり、以後27年間程度は何の手入れもしていないなど十分な育成、管理を行っていないことから、反復、継続の蓋然性があるともいえないこと、森林施業計画に係る森林の伐採の届出書は、育成、管理したことを証明するものではなく、森林施業計画の認定を受けたカラマツを伐採、譲渡したことをもって、反復、継続的に育成、管理していたとはいえないことから、本件立木の譲渡は課税資産の譲渡に該当しない旨主張する。
しかしながら、山林の育成には長期間を要するのが通例であることから、山林の伐採又は譲渡が消費税法第2条第1項第8号の「事業として」に該当するかどうかは、伐採又は譲渡の反復性、継続性のみにより判断するのではなく、伐採又は譲渡の準備行為ともいえる山林の育成、管理の度合いも加味して総合的に判断すべきものと解されるところ、請求人は、森林法第11条第1項に規定する森林施業計画を定期的に作成し市町村の長にその認定を求めていること、P市長に対し「立木の伐採(譲渡)証明申請書」を提出し、本件譲渡が森林施業計画に基づくものであるとの証明を受けていること及びT広域森林組合のJ総務部長の「請求人が今回譲渡した立木は成長も悪くなく、手入れをしていたということは、はっきり分かった」との申述からすれば、本件立木の譲渡は、森林施業計画に基づき反復、継続的な育成、管理が行われていたと認めるのが相当である。
以上のとおり、本件立木の譲渡は消費税法第2条第1項第8号に規定する「事業として対価を得て行われる資産の譲渡」に該当するとした本件更正処分は適法である。
平成15年12月17日裁決
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