請求人は、委託販売における課税資産の譲渡等の対価の算定を総額主義の方法によるか純額主義の方法によるかは、納税者の選択に委ねられているものと解され、そして、純額主義の方法によれば、本件課税期間に係る基準期間の課税売上高は3,000万円以下であり、本件課税期間においては、免税事業者となるから、本件更正の請求を行ったものであり、このことは、国税通則法第23条第1項第1号に該当するから、その全部を取り消すべきであると主張する。
しかしながら、請求人は委託販売手数料を損益計算書上で国内旅行売上高とは区分して経理していると認められるものの、消費税等の申告に係る基準期間の課税売上高の算定根拠に国内旅行売上高の額を含めたこと、また、課税仕入れに係る支払対価の額として国内旅行に係る仕入高について航空会社等に支払う総額を記載していることからみて、消費税法基本通達10−1−12が定める総額主義の方法を選択したものと解される。
したがって、請求人は、自ら選択して採用した総額主義の方法に基づいて本件基準期間の申告書及び本件課税期間の申告書を作成したものと認めるのが相当であり、総額主義の方法によって計算すると、本件基準期間の課税売上高は3,000万円を超えることは明らかであるから、請求人は、免税事業者に該当しない。
また、いったん総額主義の方法を選択適用して申告した場合には、仮に、その後において受託販売手数料を対価として消費税額を計算した結果、課税売上高が3,000万円以下となって免税事業者に該当するとしても、課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったことにはならず、又は当該計算に誤りがあったとはいえないので、更正の請求をすることができる場合に当たらないとするのが相当である。
すなわち、納税者に一定事項の申告及び選択等を条件としてその規定の適用を受けることを委ねている場合においては、いったん自由な意思でこれらの規定に従い、かつ、適法な計算に基づいて消費税法第45条の規定に従って申告書を提出し、税額を確定させた後において、その一定事項の申告及び選択等の内容を変更することを理由に更正の請求をすることはできないものと解される。
平成16年3月29日裁決
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