甲社は、連結納税申告を行っている法人です。平成28年3月期の申告に当たり、黒字の連結子法人Sについて、連結法人税の負担額として帰せられる金額として法人税法第81条の18第1項《連結法人税の個別帰属額の計算》の規定により計算される金額が生じます。甲社が連結子法人Sからこの金額を受け取らない場合でも、経済的な利益の供与に該当しないものとして、法人税法第81条の6第2項に規定する寄附金の額に含まれないと解して差し支えありませんか。
照会意見のとおりに解して差し支えありません。
(理由)
平成22年度税制改正において100%グループ内の法人間の寄附金の損金不算入(参考1)及び受贈益の益金不算入(参考2)の取扱いが改正されたことにより、連結法人税の個別帰属額を受け取らないことを経済的な利益の供与とみなす規定が削除されました。このため、連結法人間で連結法人税の個別帰属額を受け取らない場合に、同額が経済的な利益の供与に該当するものとして、法人税法第81条の6第2項に規定する寄附金の額とされることはありません。
なお、連結法人間で連結法人税の個別帰属額を受け取る場合には、その受取額は益金不算入となり、連結法人間で連結法人税の個別帰属額を支払う場合には、その支払額は損金不算入となります(法法26、38)。
(注)
(参考1)
連結法人が各連結事業年度においてその連結法人との間に完全支配関係がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額は、その支出した連結法人の各連結事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない(法法81の6)。
(参考2)
連結法人が各連結事業年度においてその連結法人との間に完全支配関係がある他の内国法人から受けた受贈益の額は、その受贈益の額を受けた連結法人の各連結事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない(法法25の2)。
法人税法第25条の2、26条第4項、第5項、38条第3項、第4項、81条の6第2項、81条の18第1項
平成22年度税制改正前の法人税法第81条の6第2項、81条の18第1項
平成22年度税制改正前の法人税法施行令第155条の15第2項
法人税法施行令の一部を改正する政令(22.3.31政令第51号)附則第10条、21条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
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